ポリュアル塗装膜は熱交換器組立後に施工するため、フィン先端部(A)銅管との接触部(B)、内部の切り起こし部(C)のいずれもしっかりと保護。
塩害仕様のプレコートでは、これらの部位は外気にさらされています。
ステンレス製のフィンは強塩害条件では劣化し、また熱伝導性の低さが知られています。経済性からもポリュアルをお勧めします。
銅フィンは銅管との密着から熱伝導性に優れますが、高価なうえ、銅の耐塩特性はアルミニウムとそれほどかわらないため、劣化速度は通常のアルミフィンの半分程度と言われています(異種金属間の劣化は回避できます)。 通常のアルミフィンが3年間で劣化する条件では5、6年程度で劣化することになります。
ブライゴールドはオランダで試験を通じて、MCHX型熱交換器の塗装法を確立しています。 (MCHXはマイクロチャンネル、マルチチャンネル、パラレルフロー熱交換器とも 呼ばれています)
アルミ製のMCHX、自動車のラジエター型熱交換器(写真左)は、フィンがチューブを支えている構造になっているため、塩害等の劣化によりフィンの強度が弱まるとチューブがひずみ、ヘッダーとの接続部(写真中、塗装中の写真)より冷媒の遺漏が起こるため、塩害、フィン劣化に特に弱いことが知られています。
ヨーロッパではこの現象によりMCHXの数年での劣化、使用不能のケースが多く発生したため、現在ではMCHXのポリュアル塗装はヨーロッパではスタンダード技術となっており、大手メーカーからポリュアル塗装を推奨いただいております。
このタイプの熱交換器は製造工程より表面に焼結、ろう付けの残差(フラックス)が残っています。これを高圧で脱脂洗浄し、乾燥後翌日塗装になります。
また、通常製品に設置されるケーシング(写真右)は塗装に際して外すため、ケーシングのない状態の熱交換器に比べ、施工時間がかなり増えてしまいます。ケーシングのない状態での施工をお願いします。